バース予約システム(バース管理システム・トラック予約受付システム)の導入を検討するとき、多くの担当者がまず気にするのが「シェアが高いのはどれか」です。本記事では、公表されている最新のシェア・市場規模データを整理したうえで、「シェア上位=自社に最適」とは限らない理由まで踏み込んで解説します。

最新シェア:MOVO Berthが57.2%で6年連続No.1

調査会社ミック経済研究所の調べとして公表されているデータでは、Hacobu社の「MOVO Berth(ムーボ・バース)」が2024年度のバース管理システム市場において導入拠点数シェア57.2%を獲得し、6年連続のNo.1とされています。同社は累計80万以上のドライバーIDと4万か所以上の利用事業所ネットワークを持ち、大手荷主・大規模物流センターを中心に導入が進んでいます。

2位以下には、車両誘導まで一元管理するLogiPull(シーイーシー)、業界団体発のN-Torus(日本加工食品卸協会)、telesa-reserve、TONOPSバース予約、ハコベルトラック簿など、出自の異なる複数のシステムが続く構図です。

市場規模:2028年度に導入11,500拠点への拡大予測

矢野経済研究所は、バース予約システムの導入拠点数が2028年度に11,500拠点へ拡大すると予測しています。成長の背景には次の2つの制度要因があります。

1. 物流2024年問題

ドライバーの時間外労働の上限規制により、荷待ち時間の削減が荷主側の責務として強く求められるようになりました。国土交通省の調査では荷待ち1回あたり平均約1時間34分とされ、この削減が業界全体のテーマです。

2. 改正物流効率化法による記録・報告義務

2025年4月から荷待ち・荷役時間(待機30分以上)の記録が求められ、2026年4月からは一定規模以上の特定事業者に中長期計画の提出と定期報告が義務化されました。手書きの受付簿では対応が難しく、システムによる自動記録が事実上の前提になりつつあります。詳しくは改正物流効率化法の解説記事をご覧ください。

「シェア上位=自社に最適」とは限らない3つの理由

理由1:シェアの中心は大規模拠点

導入拠点数シェアの多くは、大手荷主・3PLの大規模物流センターが占めています。数十バースを持つセンターと、バース2〜5本の中小倉庫では、必要な機能も適正コストもまったく異なります。

理由2:価格帯と運用負荷が大規模向け設計

本格的な予約管理型システムの相場は月額2.5万〜30万円+初期費用で、予約枠の設計・調整という継続運用が前提です。専任の管理担当を置けない拠点では、この運用負荷が「導入したのに定着しない」原因になります(詳細はデメリット解説記事)。

理由3:ドライバー網の恩恵は拠点規模で変わる

「多くのドライバーが既にIDを持っている」ことは、予約制を敷く大規模センターでは大きな価値ですが、飛び込み来場が中心の中小拠点では恩恵が限定的です。むしろID登録・アプリ不要で初来場のドライバーがすぐ使えるかのほうが定着を左右します。

規模別の選び方の目安

拠点タイプ向いているシステム理由
大規模物流センター(バース10本以上・予約制運用)シェア上位の予約管理型予約網・WMS連携・専任運用体制を活かせる
中規模拠点(予約制を試したい)予約管理型の低価格帯 or 呼出特化型+Web予約運用負荷とコストのバランス
中小倉庫・工場・営業所(バース2〜5本・飛び込み中心)呼出特化型(月額数千円〜)予約枠設計が不要・アプリ不要で定着しやすい・法対応の記録も自動

まとめ

  • シェアはMOVO Berthが導入拠点数57.2%で6年連続No.1(ミック経済研究所調べ・公表値)
  • 市場は2028年度に導入11,500拠点へ拡大予測(矢野経済研究所)。2024年問題と改正物流効率化法が追い風
  • ただしシェアの中心は大規模拠点。中小倉庫は「価格・運用負荷・アプリ不要」の観点で自拠点に合うタイプを選ぶのが失敗しないコツ

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