改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)が2026年4月に全面施行され、特定事業者に指定された荷主・物流事業者には定期報告(様式第4・第5)の提出が義務付けられました。初回の提出期限は2027年7月末 — ですが、そこに記載するのは2026年度(2026年4月〜2027年3月)の実績データです。つまり、いま記録できていない荷待ち時間は、来年の報告書には書けません。
本記事では、国が公表している実物の様式・記載事例集・Q&A(令和8年3月版)に基づき、様式第5の構成、別紙Excelの記入方法、そして報告の土台になる荷待ち時間・荷役等時間の正しい集計方法までを一気に解説します。
まず結論:定期報告のスケジュールと「今やるべきこと」
| 時期 | 特定事業者がやること |
|---|---|
| 2026年5月末 | 指定に係る届出・CLO(物流統括管理者)の選任 |
| 2026年10月末 | 中長期計画(様式第3)の初回提出 |
| 2026年4月〜2027年3月 | 定期報告に載せる実績データの記録期間(進行中) |
| 2027年7月末 | 定期報告(様式第4・第5)の初回提出 |
提出書類の作成自体は来年でも間に合いますが、荷待ち時間・荷役等時間の計測だけは遡ってやり直せません。「今やるべきこと」は書類の下書きではなく、計測体制づくりです。
定期報告の義務があるのは誰か(そして中小倉庫はなぜ無関係でないのか)
定期報告の義務を負うのは特定事業者だけです。年間取扱貨物重量9万トン以上の荷主(全国約3,200社と推計)、保管量70万トン以上の倉庫業者、一定規模以上のトラック事業者が該当します。中小倉庫のほとんどは直接の提出義務を負いません。
それでも中小倉庫にとって他人事でないのは、報告の構造上の理由からです。特定荷主の様式第5には取引先・寄託先施設ごとの荷待ち時間等を記載する欄(Ⅳ欄)があり、荷主が全国の納品先・寄託先の荷待ち時間を自力で計測することは現実的ではありません。実際にトラックを受け入れ、時刻データを持っているのは倉庫側です。結果として、特定荷主約3,200社の背後にいる無数の取引先倉庫へ「荷待ちデータを出してくれ」という依頼が連鎖します。
さらに、倉庫業者自身にも法に基づく荷待ち時間等短縮の努力義務があり、国はトラック事業者・倉庫業者へのアンケートをもとに荷主の取組を評価・公表する制度も予定しています。データを「出せる」倉庫であることは、取引先から選ばれ続けるための条件になりつつあります。
様式第5の全体構成(特定荷主版)
実物の様式第5(特定荷主版)は、大きく4つの欄と別紙Excelで構成されます。
- Ⅰ 基本情報:特定荷主番号・名称・所在地・主たる事業・第一種/第二種の区分・CLOの役職名と氏名など
- Ⅱ 判断基準に基づく取組状況のチェックリスト:第一種で90項目・第二種で66項目。「実施している/していない」を選び、「実施していない」場合のみ理由を記入します。トラック予約受付システムの導入(受渡し時間帯の分散)、到着時刻表示装置の導入、荷待ち時間等の把握などが並びます
- Ⅲ 自由記述:実施した措置の内容を対象項目ごとに記述
- Ⅳ 荷待ち時間・荷役等時間の実績:対象施設の選定の考え方(Ⅳ-1)、施設一覧と計測手法(Ⅳ-2)、施設×月別の平均値、省略する場合の理由、寄託先との連携状況など
別紙Excel(Ⅳ-1/Ⅳ-2)の記入ポイント
数値の実務はほぼこの別紙Excelに集約されます。実物を解析すると、次の構造になっています。
- 施設は3行1セット(荷待ち時間・荷役等時間・合計)で最大31施設まで記入
- 各施設について名称・住所・計測手法を記載。計測手法は「① 情報システムにより計測」〜「⑤ その他」の区分から選択
- 月別平均値は4月始まりの12ヶ月。四半期サンプリング(4月・7月・10月・1月のみ)での報告も認められています
- 荷待ち時間等が短い施設(平均1時間未満など)は理由を付して記載省略できる欄があります
ここで多くの担当者がつまずくのが、「セルに入れる数字をどう作るか」です。単純な到着〜呼出の引き算では、国のルールに合いません。
報告に載せる数字の作り方 — 国のQ&Aが定める計算ルール
国のQ&A(令和8年3月版)は、荷待ち時間の計算方法を細かく定めています。要点は次の3つです。
- 起算点は「合意された指示時刻」:予約枠などで時刻を合意している場合、荷待ち時間は指示時刻から数えます。到着時刻からではありません
- 早着分は切り捨て:10時の予約枠に9時30分に着いたトラックの30分は荷待ち時間に含めません。指示時刻前に荷役が終われば荷待ちゼロです
- 除外・算入の細則:ドライバー都合の遅刻や天候・交通事情による待機は除外。一方、施設側の昼休憩中の待機や施設「周辺」での待機は含みます
詳細は荷待ち時間の正しい計り方|Q&A準拠の10ルールで解説しています。ポイントは、この計算には受渡しごとに「予約(指示)時刻」「到着時刻」「荷役開始時刻」の3点セットが必要だということです。ホワイトボードや手書きの受付簿では早着切り捨ての計算ができず、実態より長い数字を報告してしまいます。
ヨビトラなら:記録から国の別紙への転記までワンクリック
ヨビトラは、ドライバーのQRコード受付〜呼出〜接車〜完了の各時刻を自動記録し(計測手法「① 情報システムにより計測」に該当)、Q&A準拠の計算(指示時刻起算・早着分切り捨て)で月別平均を自動集計します。
そのうえで、国のe-Gov掲載Excel別紙(Ⅳ-1/Ⅳ-2)と同一の行列構造・文言で、施設名・住所・計測手法・4月始まり12ヶ月の月別平均値が入ったExcelをワンクリックで出力できます。提出には国の正式ファイルを使いますが、セル範囲をコピーして値貼り付けするだけで転記が完了します。第一種・第二種の文言差にも対応し、転記手順を記載した説明シートも同梱しています(機能詳細はこちら)。
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まとめ
- 定期報告(様式第4・第5)の初回提出は2027年7月末。ただし報告対象は2026年度の実績で、計測は遡れない
- 提出義務は特定事業者のみ。ただし荷主の報告に必要な施設別データを持つのは倉庫側 — 中小倉庫にも「データを出してくれ」の依頼が連鎖する
- 別紙Excelには施設ごとの月別平均荷待ち時間・荷役等時間を記入。数字は国のQ&A準拠の計算(指示時刻起算・早着切り捨て)で作る必要がある
- 正しい計算には予約時刻・到着時刻・荷役開始時刻の3点記録が必須。情報システムによる計測が国の様式でも最上位に例示されている
※本記事は公表資料に基づく一般的な解説であり、個別事案の法的判断は所管省庁・専門家にご確認ください。