改正物流効率化法により、2026年4月から特定荷主にはCLO(物流統括管理者)の選任が義務化されました。「とりあえず役員の誰かを届け出た」という企業も多い一方で、CLOに実際どんな責任があり、何をやらなければならないのかは意外と知られていません。
本記事では、CLOの法律上の責任・選任要件・年間のやることリストを整理し、3PLに物流を委託している場合の責任の所在、そしてCLOが最初につまずく「現場データの収集」の解決策まで解説します。
CLO(物流統括管理者)とは:選任要件は「役員クラス」
CLO(Chief Logistics Officer/物流統括管理者)は、改正物流効率化法で特定荷主(取扱貨物の重量が一定規模以上として指定された荷主)に選任が義務付けられた、物流効率化の統括責任者です。
重要なのは選任要件です。法律は「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」から選任することを求めており、実務上は役員クラスが想定されています。物流部長・倉庫長への「肩書きだけの丸投げ」では要件を満たさない可能性があるうえ、後述するとおりCLOの仕事は調達・営業・物流をまたぐ全社調整が中心のため、決裁権限のない担当者では実際に機能しません。
CLOの3つの責任
責任①:中長期計画の作成
特定荷主は、荷待ち時間の短縮・積載効率の向上などに関する中長期計画(様式第3)を作成・提出する義務があります。CLOはこの計画の内容——どの拠点で・どんな取組を・いつまでにやるか——に責任を持ちます。計画は一度出して終わりではなく、取組の進捗が毎年度の定期報告で問われ続けます。
責任②:毎年度の定期報告(様式第5)
特定荷主は毎年度、荷待ち時間・荷役等時間の実績と取組状況を定期報告(様式第5)で国に報告します。報告書の名義は会社ですが、記載内容の統括はCLOの中心業務です。荷待ち時間と荷役等時間は国のQ&Aに基づく区分ルールで分けて月別平均を報告する必要があり、「現場に記録がなくて書けない」が最も多いつまずきポイントです。
責任③:社内横断の体制整備と取組の推進
荷待ち時間の原因は物流部門だけでは解決できません。発注ロットや納品条件(調達・営業マター)が根本原因であることが多いためです。CLOには、部門横断で物流効率化を推進する体制——たとえば物流効率化委員会の設置・定期開催——を作り、計測データに基づいて改善を回すことが期待されています。計画・報告の未提出や虚偽記載には勧告・命令・公表、命令違反には罰則のリスクがあります。
CLOの年間やることリスト
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 指定通知の受領後 | CLO選任・届出 | 役員クラスから選任。期限内の届出が必須 |
| 初年度 | 中長期計画(様式第3)の作成・提出 | 拠点ごとの荷待ち実態を把握してから書く |
| 通年 | 荷待ち・荷役等時間の計測体制づくり | 受付・呼出・完了の3点打刻が集まる仕組みを各拠点に |
| 四半期ごと(推奨) | 物流効率化委員会でデータをモニタリング | 調達・営業も巻き込み、数字で議論する |
| 毎年度 | 定期報告(様式第5)の提出 | 月別平均の荷待ち/荷役等時間+取組状況(Ⅲ欄)を記載 |
3PLに委託していても、CLOの責任は荷主に残る
「物流はすべて3PLに任せているからウチは関係ない」——これは誤解です。中長期計画・定期報告・CLO選任の義務は荷主自身に課されており、現場運営を3PLに委託していても義務は移転しません。
むしろ3PL委託企業のCLOにとって最大の課題は、委託先の現場から荷待ち・荷役データをどう受け取るかです。委託先ごとに記録方法がバラバラ(手書き受付簿・Excel・記録なし)だと、報告書に書ける数字がそろいません。現実的な解決策は、委託先の現場に同じ計測の仕組みを配り、データが自動でCLOの手元に集まる状態を作ることです。逆に3PL事業者側から見れば、荷主のCLOに計測データを提供できることは受託競争力そのものになります。
CLOの実務を支える仕組み:既存システムを壊さずに始める
CLOがデータ収集のために基幹システムやWMSを入れ替えるのは現実的ではありません。ヨビトラは既存のWMS・基幹システムはそのままに、各拠点・各部門に受付フォームやトラック呼出画面を配るだけで、受付→呼出→完了の打刻データが自動で集まる仕組みです。
- 荷待ち・荷役等時間の自動区分:国のQ&A準拠で2つの時間を自動集計(様式第5対応機能)
- CLO向け月次レポート:拠点別・月別平均をワンクリックで出力し、定期報告に転記できる形に整理
- 初期費用0円・月額4,980円から:お手持ちのスマホ・タブレットで開始でき、委託先拠点への展開も容易
自社が特定荷主に該当するかどうかは特定荷主 該当チェッカー(無料)で、現状の荷待ちコストは荷待ち時間コスト シミュレーター(無料)で確認できます。
まとめ
- CLOは特定荷主に選任が義務付けられた物流効率化の統括責任者。役員クラスからの選任が必要
- 責任の柱は①中長期計画 ②毎年度の定期報告 ③社内横断の取組推進の3つ
- 3PLに委託していても義務は荷主に残る。委託先からのデータ収集体制づくりがCLOの最重要実務
- 既存システムを壊さず、各現場に計測の仕組みを配ってデータを自動で集めるのが現実解