改正物流効率化法の定期報告(様式第5)では、「荷待ち時間」と「荷役等時間」を分けて、施設ごと・月別の平均値を報告します。ところが現場では「トラックが構内にいた時間」をひとまとめに記録しているケースが多く、いざ報告書を作る段階で「どこまでが荷待ちで、どこからが荷役なのか分からない」という問題が起きます。
本記事では、国土交通省のQ&A(令和8年3月版)と実物の様式に基づき、2つの時間の境界線とよくある間違いを整理します。
定義の整理:時系列で見る「荷待ち」と「荷役等」
1台のトラックが倉庫に到着してから出発するまでを時系列に並べると、区分は次のようになります。
| 時系列 | 区分 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 予約時刻より前に到着(早着) | カウントしない | 合意された指示時刻より前の待機は荷待ちに含めない |
| ② 指示時刻〜荷役等の開始 | 荷待ち時間 | 予約枠の時刻から荷役開始までの待機 |
| ③ 荷積み・荷卸し | 荷役等時間 | バース着けから作業完了まで |
| ④ 検品・仕分け・ラベル貼り等の附帯作業 | 荷役等時間 | 附帯作業も「荷役等」に含む |
| ⑤ 伝票処理後の出発準備 | 実務上は荷役等に整理 | 作業に付随する時間として扱うのが一般的 |
詳しい計測ルールの原文ベースの解説は荷待ち時間の正しい計測方法を参照してください。
よくある間違い3パターン
間違い①:到着時刻から荷待ちを起算してしまう
予約枠がある場合の起算点は到着時刻ではなく合意された指示時刻です。朝イチの枠に前夜から並ぶトラックの待機を全部荷待ちに入れると、実態より大幅に長い数字になってしまいます。逆に指示時刻がない(予約制でない)場合は到着・受付時刻から起算します。
間違い②:構内滞在時間をそのまま「荷待ち」として報告する
入場から退場までの滞在時間には荷役等時間が含まれています。様式第5の別紙は荷待ちと荷役等が別の行になっているため、合算値しか記録がないと転記のしようがありません。
間違い③:検品・仕分けを荷待ちに入れる
ドライバーが立ち会う検品や仕分けは「待っている」ように見えても附帯作業=荷役等時間です。作業をせずに順番を待っているだけの時間と区別が必要です。
実務上の最大の壁:「荷役開始時刻」の打刻
2つの時間を分ける境界は「荷役等の開始」の瞬間です。これを全車両について記録するには、受付時刻・呼出(バース着け)時刻・作業完了時刻の3点が打刻される仕組みが必要になります。手書きの受付簿ではこの3点管理が事実上不可能なため、国の様式も計測手法として「① 情報システムにより計測」を最上位に例示しています。
ヨビトラの定期報告(様式第5)対応機能は、QR受付→呼出→完了の操作ログから荷待ち時間と荷役等時間を国のQ&A準拠で自動区分し、月別平均を自動集計します。
自社の荷待ちがいくらの損失か試算してみる
区分計測の仕組みを入れる前に、まず現状の荷待ちがどれだけのコストになっているかを把握するのがおすすめです。荷待ち時間コスト シミュレーター(無料)で、1日の台数と平均荷待ち時間から年間損失額を試算できます。
また、自社がそもそも定期報告の義務対象(特定荷主・特定倉庫業者)かどうかは特定荷主 該当チェッカー(無料)で確認できます。
まとめ
| 項目 | 荷待ち時間 | 荷役等時間 |
|---|---|---|
| 起算点 | 合意された指示時刻(なければ到着・受付) | 荷役等の開始 |
| 終了点 | 荷役等の開始 | 荷役・附帯作業の完了 |
| 早着の扱い | 含めない | — |
| 検品・仕分け | — | 含める(附帯作業) |
| 報告様式 | 様式第5 別紙に施設ごと・月別平均で別々に記入 | |
様式第5全体の書き方は様式第5(定期報告)の書き方完全ガイドで解説しています。